知っていそうで知らないフランス―愛すべきトンデモ民主主義国 (平凡社新書)

この本を読む限り､フランスという国は実はとんでもない異色な国のようです。頻繁に起こるストライキ､やたらと強い反米意識､あまりにも希薄な環境意識､汚職まみれの政治､追求される戦争責任､あちこちに分散する移民のコミュニティーなど､世界的に見たフランスの異色な側面が余すところなく記されています。銀行をリストラされた社員たちが､本社ビルを占拠し､１ヶ月近く立てこもったという話は傑作でした。日本なら即豚箱行きになるでしょうが､この事件では警察が出動することもなく､最終的には彼らのリストラも免れたそうです。また､フランスの移民の多さにも驚かされます。フランスは歴史的に移民の国のようですが､現在でも外国人の移住が続いており､最近ではアルジェリア､トルコ､東南ア'''アなどからの移民が増加しているそうです。ちなみに､サッカーのジダン選手はアルジェリア系移民の子供だということです。著者は､パリ特派員を４年近く経験したジャーナリスト。多くの一般市民との日常会話を積み上げることで､より実物に近いフランス像に迫ることができたといえます。全体的に異色な内容が多いのですが､描かれているフランスの様子はとても生き生きとしており､他のフランス関係の本にはないような楽しい本に仕上がっています。フランスに行きたいと考える方には､是非一読をお勧めします。