独和大辞典コンパクト版 〔第2版〕

見出し語数16万、用例数18万。様々な分野の用語を収録し、図版もあるので、ドイツ語辞典・百科事典といえる。単語の意味（語義）や用例をふんだんに記載。ありとあらゆる言葉と言い回しが載っている。内容の豊富さは「ロベール仏和大辞典」、「ランダムハウス英和大辞典」と同じだが、使いやすさではこの二冊と他の辞典に劣る点が二つある。1) 図版の用語はドイツ語のみなので、図を見て日本語の正式名称が分からなければ、見出し語そのものを引く必要があり、一括して関連語を学べない。2) 語源も記載されているが、ロベール仏和や西和中辞典と比べると、収録語数に対して少なく、原義の記述も豊富ではない。しかも、原義はドイツ語のみで、語源となる言語名はドイツ語名の略称で書かれている。略称ははしがきで説明されているとはいえ、ドイツ語名または日本語名を知らない人には分かりにくいだろう。語源を詳しく知りたい人には「ドイツ語語源小辞典」が良いだろう（あいにく絶版で、古本でも高値で売られている）。これは持っていないが、長年前に読んだ際に、語源好の好奇心を満たす印象を持った。語源となる古ドイツ語、ラテン語やギリシャ語の単語と原義に加え、語彙によってはゴート語とフランス語も併記。記述の豊富さは「伊和中辞典」と同じ。上記の2つの難点が残念ではあるが、素晴らしい辞書であることは事実。本格的に学ぶ人、ドイツ語専修の学生は、最初は最新の学習辞典で学び、中級レベルでこの大辞典を買い足すと良いだろう（徹底的に学ぶには学習辞典だけでは足りない）。私はドイツ語専門ではありませんが、様々な言語の翻訳の仕事の際にドイツ語の対訳が参考になることがあるので購入（状態が良い古本を安値で入手）。仮に新品を定価で購入するにしても、内容の豊富さが同じロベール仏和やスペイン語大辞典が３倍の価格で、英和大辞典も１万円以上なので、本格的に学ぶ人には高くないだろう。最初に学習辞典を安価の古本を買っておくと、本書を新品で買い足すにしても安い投資で済む。